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アスリート語録

国士舘の在学生/卒業生を中心に、第一線で活躍している選手にインタビューをしていきます。活躍を続ける秘訣はもちろん、葛藤や挫折の経験、選手それぞれの「座右の銘」から、人生のヒントを感じてもらえるでしょう。

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右代啓祐 <十種競技>

プロフィール 右代啓祐(Keisuke Ushiro)
北海道出身/1986年7月24日生まれ/血液型A型
札幌第一高校・国士舘大学卒・国士舘大学大学院
スズキ浜松アスリートクラブ所属
主な活躍
  • 日本ジュニア陸上競技選手権大会 優勝(2005年)
  • 日本インカレ 優勝(2008年)
  • ニュージーランド混成競技選手権 優勝(2010年)
  • ドイツ混成選手権 準優勝(2010年)
  • 広州アジア大会 4位(2010年)
  • 日本陸上競技選手権大会 優勝(2010年、2011年、2012年)
  • ロンドンオリンピック 20位(2012年)

私にとって国士舘は心のふるさとです

【走る・投げる・跳ぶ】――陸上競技のすべての能力が求められる十種競技で、世界と伍して戦える選手として期待されている右代啓祐選手。2011年、日本人には不可能とされた8000点の壁を破り、ロンドンオリンピックにも出場した。並はずれた身体能力を持つ鉄人は、満面の笑みを浮かべ緑豊かな本学多摩キャンパスの陸上競技場に現れた。

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―日本記録達成、おめでとうございます。8073点という記録は素晴らしいですね。
十種競技の最後の種目、1500m走でゴールした瞬間はさすがに泣いちゃいました(笑)。普段泣くことなんてないんですけど、その時はスタンドからの温かい応援だったり支えてくれた多くの人たちのことを思ったら、込み上げてきちゃって。遠回りしたけど、この日のために競技を続けてきてよかった、と心の底から思えました。

―8000点の壁は日本人には破れない、と言われていました。
競技を始めた頃は、8000点超えなんて夢のまた夢と思っていましたが、トレーニング内容を変えてから記録が飛躍的に伸びて意識するようになったんです。本当は一昨年から8000点超えは狙っていたんですけど、国内では競技種目に十種競技が含まれる大会が年に2試合しかなくて。記録を狙おうにも調整が難しいんですよ。

―記録が伸びた魔法の練習法というのは、どういったものなんですか?
最近テレビにも出られている武井壮さんの指導で、マット運動を採り入れました。たったそれだけ? と思うかもしれませんが、逆立ちしたりバック転したりすることで体を自由自在に動かす能力が磨かれるんです。十種競技は運動神経が万能でないと記録が伸びません。ただ、そうは言っても苦手な種目もある。僕の場合は走ることが苦手なんですが、体をイメージ通り自在に動かすことができれば、走り方の指導を受けてもしっかり修正ができます。武井さんには、そういうことも含めて指導をいただきました。

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―日本人未踏の記録の裏にマット運動があったなんて、誰も思わないでしょうね。
そうですね。僕はマット運動が苦手だったんです。でも苦手なものを克服することで初めて見えるものがある。僕の場合、マット運動にチャレンジした結果、人生が大きく変わったと言っても過言ではありません。

―人生が変わって初めて見えたものって何ですか?
元々、日本記録は通過点だと思っていたんですが、記録を達成したことで最終的な自分の目標が見えましたね。ひとつは「世界でメダルを獲る」、もうひとつは「十種競技を日本中に広める」です。

―今年はロンドンでオリンピックの舞台にも立ちましたね。
やはりオリンピックは他の大会と比べようもないくらいスケールが大きくて。日本選手権では500人しか観客がいないのに、オリンピックは8万人の大観衆の前で競技するんですから。棒高跳びで、他の選手がどんどん脱落していく中、僕は残っていたんですけど、助走に入る前にお客さんたちが僕の名前を呼んでくれて、しかも会場全体が手拍子に包まれていった時は、本当に大きな力をもらった気がしました。


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―十種競技になじみが薄い読者の皆さんに、少し競技の説明をしてもらえませんか?
100m、走り幅跳び、砲丸投げ、走り高跳び、400m、110mハードル、円盤投げ、棒高跳び、やり投げ、1500m この十種を2日間かけて行う競技です。記録はすべて点数化され、合計得点で順位を争います。競技ごとの点数の計算式は複雑ですが、例えば100m走だと0.1秒が2.5点くらいの点差になりますね。

―ハードな競技だとは伺ってますが、具体的に教えてもらえませんか?
初日の競技が終わると全身筋肉痛ですね(笑)。2日目の朝起きると、「こんな体で競技できるかな?」と本気で心配になります(笑)。世界レベルの大会になると、朝9時から始まって競技終了まで12時間以上かかりますから。正直、肉体的にも精神的にも限界まで追い込まれますけど、得られる達成感はその分大きいですよ。

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―やめたい! と思ったこともあるんじゃないですか?
それはないですが、3年前の世界陸上の代表選考がかかった日本選手権で、棒高跳びで一度もクリアできず『記録なし』に終わった瞬間は、頭の中が真っ白になりました。優勝確実と言われていて、しかも普段だったらクリアできる高さだったんですけどね。結局、それが響いて世界陸上には出られなかったんですが、いま思えばその時の失敗や悔しさが、日本記録やオリンピック出場に結びついたと思う。失敗を成長につなげられるとわかったことも、僕にとっては大きな収穫でした。

―国士舘大学に入学した理由は?
体育の教員になりたかったので体育学部があって、なおかつ競技のサポートがしっかりしている大学、ということで国士舘を志望しました。恩師が国士舘のOBで、高校の頃から陸上部の合宿で大学を使わせていただいていた、という縁もあります

―入学されてみて印象はどうでした?
高校の合宿で何度もお世話になっていたので、学校や陸上部の雰囲気は知っていましたし、だからこそ国士舘に入学したい、と思ったんですが、イメージ通りでしたね。ただ、厳しい先生や先輩もいたので、1年生の頃は体がデカいのに縮こまってました(笑)。でも、そういった環境であればこそ、人間としても競技者としても成長できたんだと思います。

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―後輩たちに向けたメッセージをお願いします。
将来の目標や夢に近づくために、たくさん失敗してほしいですね。そして失敗したこととしっかり向き合ってほしい。なぜ失敗したのか? どうすれば成功するか? 分析して自分と向き合うことができれば、その一歩先が見えると思うんです。失敗しても絶対あきらめない心構えさえあれば、どんなことでもクリアできるはずですよ。

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―右代選手が大切にしている座右の銘を教えてください。
「今日からがお前のスタートだ」。これは棒高跳びで記録なしに終わった時、いつもは厳しい陸上部の監督からやさしい口調で言われた言葉なんです。どんな大きな失敗をしても、「今日から新たなスタートだ」と意識することで、一歩前に踏み出せる。「ウジウジしていても仕方がない」と踏ん切りをつけるきっかけをもらった、大切な言葉です。

今日からがお前のスタートだ
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